侍ジャイアンツの歌エンディング全曲を徹底解説

侍ジャイアンツのエンディング曲「サムライ番場蛮」「ゆけ!バンババン」を徹底解説。前期・後期の違いや歌手の秘密、今も球場で歌われる理由とは?

侍ジャイアンツの歌エンディングを徹底解説

「ゆけ!バンババン」の歌詞は、原作者・梶原一騎が書いたにもかかわらず50年以上経った今も実際の巨人戦で応援歌として歌われています。


侍ジャイアンツ エンディング曲まとめ
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前期ED(第1〜24話)「サムライ番場蛮」

歌:松本茂之(実は水木一郎の別名義)/作詞:東京ムービー企画部/作曲:菊池俊輔。コミカルで軽快なメロディが特徴。

後期ED(第25〜46話)「ゆけ!バンババン」

歌:ロイヤルナイツ/作詞:梶原一騎/作曲:政岡一男。シリアス調に一変し、今も東京ドームで応援歌として使われている。

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この記事でわかること

2曲の歌詞の内容・違い・制作背景、水木一郎の別名義の理由、「ゆけ!バンババン」が球場で歌われ続ける理由を徹底解説。


侍ジャイアンツの前期エンディング「サムライ番場蛮」とは

アニメ『侍ジャイアンツ』は1973年10月から1974年9月にかけて、日本テレビ系列で毎週日曜19時30分から放送された全46話(再放送2話を加えて全48回)の野球アニメです。第1話から第24話まで使用されたエンディング曲が「サムライ番場蛮」で、作詞は東京ムービー企画部、作曲は菊池俊輔が担当しました。


この曲は「いばった奴はきらいだぜ」という印象的な歌い出しから始まり、主人公・番場蛮の豪快な性格をそのまま歌詞に落とし込んでいます。


「バンババーン! バンババーン! 見たか! 侍ジャイアンツ」というサビのフレーズは、当時の男子小学生なら誰でも口ずさめるほど親しまれました。3番まであり、それぞれ「いばった奴への反発」「かわいい娘への惚気」「でっかい奴(クジラ)への挑戦」という番場蛮らしいテーマが詰まっています。


前期エンディングの映像は「ど根性ガエル」に似たコミカルなタッチで、オープニングのシリアスな熱血路線とのギャップが面白い点です。それが原因で「本当に同じアニメのOP・EDなのか」と当時から話題になっていました。これが前期の大きな特徴です。


なお、この曲の作曲者・菊池俊輔は、『ドラゴンボール』や『ドラえもん』なども手がけたアニソン界の巨匠で、侍ジャイアンツの前期OP・前期ED両方の曲を手がけました。菊池俊輔の名は必ず覚えておきたいポイントです。


「サムライ番場蛮」の歌詞全文(歌ネット)


侍ジャイアンツの前期ED歌手「松本茂之」は実は水木一郎だった

「サムライ番場蛮」のクレジットには「歌:松本茂之」と記されています。ところが「松本茂之」は、アニソン界の帝王・水木一郎が使用していた別名義でした。


これには当時の芸能界の事情が深く関係しています。水木一郎はレコード会社「日本コロムビア」の専属歌手だったため、他社から発売されるシングルには本名義「水木一郎」を使えない契約上の縛りがあったのです。そのため『侍ジャイアンツ』では「松本茂之」という別名でクレジットされることになりました。


つまり、「松本茂之という歌手がいる」と思って調べると何も出てこない、という状況が起きていました。これは知っていると得する情報です。


水木一郎は1948年生まれ。本名は早川俊夫で、「マジンガーZ」「デビルマン」「ゲッターロボ」など数多くの名作アニメの主題歌を歌い続け、「アニキ」の愛称で親しまれた伝説的な歌手です。


NHKの「おかあさんといっしょ」で2代目うたのおにいさんを務めたことがその愛称の由来とされています。2022年12月に逝去されるまで現役で歌い続けました。侍ジャイアンツの主題歌(OP)も同じく「松本茂之」名義で歌っており、前期は水木一郎がOP・ED両方を担当していたということになります。


侍ジャイアンツの後期エンディング「ゆけ!バンババン」の魅力と歌詞

第25話からエンディング曲は一新され、「ゆけ!バンババン」(ロイヤルナイツ歌)に交代します。前期の軽快でコミカルな雰囲気から一転、後期EDはシリアスでかっこいいトーンに変わりました。


後期OP「王者!侍ジャイアンツ」と足並みをそろえて路線が変更されたわけで、「ハイジャンプ魔球」から「大回転魔球」「分身魔球」へとストーリーが深刻化するにつれ、曲調も合わせてシリアス化されたと見られています。これが変更の流れです。


「ゆけ!バンババン」の作詞は、原作者・梶原一騎本人が担当しています。


作曲は「政岡一男」という名義ですが、実はこの人物の正体が50年以上謎のままです。音楽担当は菊池俊輔のはずなのに、後期OPから突如として「政岡一男」という名義が現れ、他に手がけた曲がまったく存在しないため、「誰かの変名ではないか」と言われているのです。意外ですね。


歌詞の内容は「風を呼び 雲を呼び まかり通る あいつはだれだ バンババーン!」という力強い描写で、番場蛮の豪快さをストレートに表現しています。3番まであり、「あいつが地獄で笑ってる あいつが勝って泣いている」という歌詞は、笑いと涙を裏表に持つ番場蛮のキャラクターを見事に捉えています。つまり歌詞全体が「キャラクター像の圧縮」です。


「ゆけ!バンババン」の歌詞全文(歌ネット)


侍ジャイアンツのエンディング曲が今も球場で歌われている理由

後期OP「王者!侍ジャイアンツ」の歌詞「ジャイアンツの、ジャイアンツの旗のもと」は、今なお東京ドームで読売ジャイアンツの応援歌として歌われています。放送終了から半世紀以上が経過しているにもかかわらず、現在の球場で現役の応援歌として機能しているアニメ主題歌というのは、かなり珍しいケースです。


その理由は歌詞にあります。「鉄の左腕が折れるまで 熱い血潮の燃えつきるまで 熱球ひとすじ命をかけた」という言葉は、アニメの主人公のセリフでありながら、プロ野球選手への応援歌としてもそのまま成立する内容になっています。これは原作・梶原一騎の書き下ろし歌詞ならではのクオリティといえるでしょう。


後期EDの「ゆけ!バンババン」も同様に、球場で流れることがあります。


アニメは1974年9月29日に最終回を迎えましたが、主題歌・エンディング曲は放送終了後も広く愛され続けました。特にジャイアンツファンの世代に深く刻まれており、球団との親和性が高かったことがその理由として挙げられます。


もしアニメ版の主題歌を改めて聴き直したい場合は、公式YouTubeチャンネル(TMS Anime)で高画質の映像とともに視聴できます。動画を見ながら歌詞を確認するのがおすすめです。


侍ジャイアンツの主題歌・エンディング変遷の詳細解説(ロマンブログ)


侍ジャイアンツのエンディング曲と「宮崎駿・富野由悠季」超豪華スタッフの知られざる関係

侍ジャイアンツは「ただの野球アニメ」ではありませんでした。アニメ制作に関わったスタッフを見ると、後に日本アニメ界の頂点に立つ人物たちが集結していた、という事実があります。


監督は「巨人の星」と同じ長浜忠夫。キャラクターデザインと作画監督には、ルパン三世の大塚康生。第1話の絵コンテと演出には富野由悠季(当時は富野喜幸名義で、後の『機動戦士ガンダム』監督)が参加。そして第1話の原画に宮崎駿が参加していることが確認されています。


これは驚きのラインナップです。


ただし、宮崎駿・大塚康生・小田部羊一らはその後「アルプスの少女ハイジ」のためにAプロダクションを退社し、侍ジャイアンツの制作から離れています。つまり第1話限りの参加となりました。それでも、「第1話だけ映像の質が異次元に高い」と語るファンが多い理由はここにあります。


エンディング曲の完成度の高さも、こうした一流のスタッフが関わった制作環境と無関係ではないでしょう。菊池俊輔が手がけた前期ED・前期OPの音楽は、同時期の「ルパン三世(第1シリーズ)」の雰囲気とも共通するセンスが感じられ、今聴いても色あせない名曲です。


アニメのサウンドトラックや主題歌コレクションを楽しみたい方には、Blu-ray版「侍ジャイアンツ 想い出のアニメライブラリー第112集」に前期・後期のノンテロップOP・EDが収録されているので、映像と音楽を最高画質で楽しめます。


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