実は主人公・小野田坂道は、最初から自転車競技がしたかったわけではありません。
弱虫ペダルを楽しむうえで、まず押さえておきたいのが「脚質(きゃくしつ)」という概念です。脚質とはロードレースにおける選手のタイプのことで、得意なフィールドや走り方の傾向を表します。作中では主に3種類の脚質が登場します。
まず「クライマー」は坂道を登るのが得意な選手で、軽量な体と高いパワーウェイトレシオを武器にします。山岳賞ポイントを狙う花形ポジションです。次に「スプリンター」は平地での瞬発力が高く、ゴール前のラストスパートで爆発的な速度を出す選手です。レースの最終盤で最も注目を集めます。そして「オールラウンダー」は平地・坂道どちらもこなせるバランス型で、チームのエースを担うことが多く、インターハイのような総合力勝負に最も適しています。
この3種類が基本です。
脚質を知ってからキャラを見ると、なぜそのシーンで活躍するのかがわかります。たとえば山頂ゴールの争いにクライマーが強く、平坦なゴール前スプリントにスプリンターが輝くという構図が、弱虫ペダルの各レース展開に直結しています。脚質を理解するだけで物語の面白さが一段階アップするため、キャラ一覧を見る前にここだけ覚えておけばOKです。
総北高校は本作の舞台となる千葉県の学校で、主人公・小野田坂道が所属します。アニメシリーズを通して最も多く描かれるチームです。
| キャラ名 | 脚質 | 異名・特徴 | 誕生日/身長 |
|---|---|---|---|
| 小野田 坂道 | クライマー | オタク少年→インターハイ連覇達成 | 3月7日/165cm |
| 今泉 俊輔 | オールラウンダー | 冷静な努力家。目標は「世界最速」 | 5月18日/181cm |
| 鳴子 章吉 | スプリンター→オールラウンダー | 浪速のスピードマン。赤が全身のトレードマーク | 8月28日/165cm |
| 金城 真護 | オールラウンダー | 石道の蛇。絶対に諦めない主将 | 12月1日/178cm |
| 巻島 裕介 | クライマー | 頂上の蜘蛛男(ピークスパイダー)。口癖は「〜ショ」 | 7月7日/176cm |
| 田所 迅 | スプリンター | 暴走の肉弾頭。185cm/74kgの巨漢エース | 10月16日/185cm |
| 手嶋 純太 | クライマー | 自称「凡人」。策士として2年時に主将に就任 | 9月11日/173cm |
| 青八木 一 | スプリンター | 無口先輩。手嶋とのコンビでインターハイを目指す | 2月24日/165cm |
| 鏑木 一差 | スプリンター | 社会人チーム出身の自信家。今泉から「イキリ」と呼ばれる | 1月15日/173cm |
| 段竹 竜包 | 未確定 | 鏑木の幼馴染。無口で冷静なサポーター | 9月30日/175cm |
| 古賀 公貴 | オールラウンダー | 中学時代は「轟音の古賀」。怪我明けの実力者 | 6月4日/182cm |
| 杉元 照文 | オールラウンダー | 口癖は「ボクは経験者だから」の自慢屋だが根は親切 | 7月1日/171cm |
主人公の小野田坂道は165cm・54kgという小柄な体型で、小学生のころから秋葉原まで往復90kmをママチャリで通い続けた結果、気づかないうちにクライマーとしての才能を育てていました。意図せず鍛えた才能、というのが物語の面白い出発点です。
今泉俊輔は181cmの長身で整った容姿を持つイケメンですが、本人は自転車以外にほとんど関心がないという徹底したキャラクターです。中学時代に県内屈指のレーサーとして活躍した経歴を持ち、その実力は折り紙付きです。一方で鳴子章吉は関西出身の熱血スプリンターで、身の回りのものを赤で統一する派手好きな性格が印象的です。この3人の個性がぶつかり合いながらチームの軸を作っているのが総北の魅力です。
3年生の金城・巻島・田所という先輩トリオも見逃せません。金城真護は「石道の蛇」の異名を持ち、坊主頭にスポーツサングラスという風貌ながら実はイケメンという意外な設定があります。巻島裕介は公式人気投票で第4回・第5回の1位を取得した超人気キャラで、独特のダンシング走法と「〜ショ」という口癖が多くのファンを惹きつけました。田所迅は185cm/74kgという作中随一の体格を誇るスプリンターで、実家がパン屋という親しみやすい設定もあります。田所は後輩の手嶋・青八木に最も大きな影響を与えた選手としても知られています。
つまり総北は、世代ごとにそれぞれの個性と絆が描かれるチームです。
箱根学園は神奈川県の強豪校で、インターハイ前年度王者という設定のチームです。圧倒的な選手層の厚さと、独特の個性を持つキャラクターたちが揃っています。
| キャラ名 | 脚質 | 異名・特徴 | 誕生日/身長 |
|---|---|---|---|
| 福富 寿一 | オールラウンダー | 「オレは強い」が口癖。ロードレーサー家系のサラブレッド | 3月3日/180cm |
| 荒北 靖友 | オールラウンダー | 「運び屋」。元ヤン。福富を「フクチャン」と呼ぶ | 4月2日/178cm |
| 東堂 尽八 | クライマー | 山神・スリーピングビューティー。巻島の宿命のライバル | 8月8日/174cm |
| 新開 隼人 | スプリンター | 箱根の直線鬼。ウサギを飼っている飄々とした好漢 | 7月15日/177cm |
| 泉田 塔一郎 | スプリンター | 「神奈川の最速屋」。筋肉に「アンディ」「フランク」と命名 | 10月10日/171cm |
| 真波 山岳 | クライマー | 天空の羽根王子(スカイプリンス)。遅刻魔で自由人 | 5月29日/176cm |
| 葦木場 拓斗 | クライマー | 202cmの長身。ピアノが得意でメトロノーム・ダンシングを使う | 10月2日/202cm |
| 黒田 雪成 | クライマー→オールラウンダー | 「黒猫・届屋」。スポーツ万能の天才。泉田の幼馴染 | 2月4日/175cm |
| 銅橋 正清 | スプリンター | 怪童銅橋。191cm/73kgの巨体。入退部を繰り返した経緯も | 9月5日/191cm |
箱根学園で特に語り継がれる存在が荒北靖友です。中学2年生まで野球の投手として活躍していましたが怪我で断念し、荒れた生活を送っていたところを当時1年生の福富に出会ってロードバイクに目覚めたという過去を持ちます。人の3倍練習してレギュラーの座を勝ち取り、卒業後も洋南大学で総北OBの金城とチームメイトになるという展開は多くのファンの心を掴みました。公式人気投票では1万7千票超を集めたランキングで1位を獲得した人気キャラクターです。
東堂尽八は常にカチューシャを頭に装着し、自らを「眠れる森の美形(スリーピングビューティー)」と称するナルシストですが、自転車に関しては非常に理知的です。「山神」の異名が示すとおり、音もなく相手を抜き去るスリーピングクライムは実力の証です。巻島との公式戦通算14戦で7勝7敗という五分の戦績も、ライバル関係の深さを物語っています。
葦木場拓斗の存在も独特です。202cmという箱根学園史上最長の身長を持ちながらクライマーという異色の設定で、ピアノのリズムに合わせて加速する「メトロノーム・ダンシング」は作中でも印象的な場面を生み出しました。厚みのあるキャラクター層が箱根学園の強さの背景です。
主人公サイドと総北・箱根学園だけが弱虫ペダルではありません。ライバルとして登場する京都伏見高校や、広島呉南工業などのチームにも注目すべき個性的なキャラクターが揃っています。
| キャラ名 | 所属 | 脚質 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 御堂筋 翔 | 京都伏見高校 | オールラウンダー | 1月31日生/1年生からエース。「勝利への異常な執着心」を持つ最強の敵キャラ |
| 石垣 光太郎 | 京都伏見高校 | オールラウンダー | 6月5日生/3年生ながら御堂筋に実権を握られた元主将格の実力者 |
| 水田 信行 | 京都伏見高校 | 未明 | 歯列矯正を装着。御堂筋を妄信しており「ノブ」という愛称を拒否する |
| 待宮 栄吉 | 広島呉南工業 | スプリンター | 5月31日生/「呉の闘犬」。前年度インターハイ総合3位入賞の実力者 |
御堂筋翔は弱虫ペダルでも屈指の強烈なキャラクターです。爬虫類を思わせる独特の外見と言動、そして「勝利」にのみ価値を置く異常なほどの執着心が、主人公たちの前に立ちはだかる最大のライバルとしての存在感を作り出しています。1年生ながら京都伏見高校の実権を完全に掌握し、3年生の石垣でさえ「御堂筋君」と呼ばされる関係性は、作中でも衝撃的な場面として描かれます。脚質はオールラウンダーでありながらスプリントとヒルクライムの両方で特化型の選手と対等に戦える規格外の選手です。
御堂筋翔は今泉俊輔が中学時代に大敗した因縁の相手でもあります。この過去の敗北が今泉を奮い立たせる動機の一つになっており、2人の対決は作品のハイライトの一つです。弱虫ペダルの魅力は主人公サイドだけでなく、こうした強烈なライバルキャラクターが作品全体を引き締めている点にあります。
広島呉南工業の待宮栄吉は「呉の闘犬」という異名を持ち、ルールをも超えた凶暴な走りをするキャラクターとして登場します。前年度インターハイで総合3位に入賞した実力者で、その経験から箱根学園への私怨を持つという複雑な動機も描かれています。こうした学校ごとのバックグラウンドが弱虫ペダルの登場人物をより立体的にしています。
弱虫ペダルは『週刊少年チャンピオン』本誌で、2010年から2017年にかけて計7回の公式キャラクター人気投票を実施しています。この推移が実はかなり興味深い内容です。
第1回(2010年)から第3回(2012年)まで、連続して1位を獲得していたのは主人公の小野田坂道でした。これは多くのファンが想像するとおりです。しかし第4回(2014年)で1位に輝いたのは巻島裕介(3576票)で、坂道は2位(2418票)に後退しました。さらに第5回(2015年)でも巻島が連続1位(4146票)を取り、第6回(2015年)・第7回(2017年)では手嶋純太が1位を取得するという流れになっています。
| 回 | 1位 | 票数 |
|---|---|---|
| 第1回(2010年) | 小野田坂道 | 1253票 |
| 第2回(2011年) | 小野田坂道 | 1224票 |
| 第3回(2012年) | 小野田坂道 | 1112票 |
| 第4回(2014年) | 巻島裕介 | 3576票 |
| 第5回(2015年) | 巻島裕介 | 4146票 |
| 第6回(2015年) | 手嶋純太 | 3599票 |
| 第7回(2017年) | 手嶋純太 | 3388票 |
主人公ではなく先輩・サブキャラが1位を連取した理由は何でしょうか?
これには「3年生キャラが卒業・退場してから読者の支持が爆発した」という背景があります。作中で爆発的な人気があった巻島や荒北などの3年生は全員第1期で退場するため、第1期を見終えてから彼らの魅力を再認識した読者が投票に殺到したと考えられています。また1万7千票超を集めた別サイト調査では荒北靖友が1位となっており、物語を通じて見えてくる深みが長期連載作品の人気推移をこれほど変動させるのは、弱虫ペダルならではと言えます。
第4回で渡辺航(作者本人)が10位に入っている点も注目です。これは作者に感謝と愛を込めたファンの遊び心によるものです。いいことですね。
参考:公式人気投票まとめ(第1回〜第7回)
【弱虫ペダル】第1回〜7回キャラクター人気投票TOP10まとめ
弱虫ペダルの大きな魅力の一つが、各キャラクターが持つ「異名(二つ名)」です。異名はそのキャラクターの走りの特徴や個性をひと言で表現したものであり、覚えておくとレースシーンがより深く楽しめます。
クライマー系の異名は山岳・急坂にまつわる表現が多くなっています。巻島裕介の「頂上の蜘蛛男(ピークスパイダー)」は独特のダンシング走法を蜘蛛に例えたもので、東堂尽八の「山神」は音もなく相手を抜き去る圧倒的な登坂力を神格化した名称です。真波山岳の「天空の羽根王子(スカイプリンス)」は風に乗って加速する走りの美しさを表現しています。
スプリンター系の異名には力強さや速度感を示すものが多くあります。田所迅の「暴走の肉弾頭」は彼の巨体を活かした力押しスプリントそのものです。新開隼人の「箱根の直線鬼」は平地での爆発的なスプリント能力を「鬼」に例えており、普段の温和な性格との落差がキャラクターの面白さを増しています。泉田塔一郎は「神奈川の最速屋」として箱根学園スプリントの後継者を自認しています。
オールラウンダー系の異名は戦略的・精神的な面が強調されることが多いです。金城真護の「石道の蛇」は舗装道路を這いずるようにしたたかに進む走りと、どんな逆境でも諦めない精神力を表現しています。
| キャラ名 | 異名 | 脚質 |
|---|---|---|
| 小野田 坂道 | (坂が好きなクライマー・ヒメヒメの歌声選手) | クライマー |
| 巻島 裕介 | 頂上の蜘蛛男(ピークスパイダー) | クライマー |
| 東堂 尽八 | 山神・眠れる森の美形(スリーピングビューティー) | クライマー |
| 真波 山岳 | 天空の羽根王子(スカイプリンス) | クライマー |
| 金城 真護 | 石道の蛇 | オールラウンダー |
| 田所 迅 | 暴走の肉弾頭・肉弾列車 | スプリンター |
| 鳴子 章吉 | 浪速のスピードマン | スプリンター |
| 新開 隼人 | 箱根の直線鬼 | スプリンター |
| 荒北 靖友 | 運び屋・野獣 | オールラウンダー(アシスト) |
| 泉田 塔一郎 | 神奈川の最速屋 | スプリンター |
| 銅橋 正清 | 怪童銅橋 | スプリンター |
| 葦木場 拓斗 | (メトロノーム・ダンシング使い) | クライマー |
| 待宮 栄吉 | 呉の闘犬 | スプリンター |
異名はそのキャラクターへの入り口として機能します。「運び屋」と呼ばれる荒北靖友なら、エースをゴールまで届けるアシストの役割が伝わりますし、「山神」の東堂なら作中でのクライマー最強格という立ち位置が一目でわかります。初めて弱虫ペダルを読む方や、久しぶりに見直す方は、異名からキャラを逆引きするとすぐに全体像が把握できます。異名の覚えやすさが原因で好きになったキャラがいる、というファンも少なくありません。これは使えそうです。
参考:弱虫ペダル キャラクター公式情報
弱虫ペダル|キャラクター(テレビ東京アニメ公式)