岩崎諒太は本物の関西弁話者なのに、エセ関西弁キャラの森田を演じると逆に難易度が上がります。
『スナックバス江』は、フォビドゥン澁川が「週刊ヤングジャンプ」に2017年から2025年まで連載したギャグ漫画だ。北海道・札幌のすすきのから5駅離れた北24条を舞台に、スナックバス江に集う常連客たちの日常をゆるく描いた作品で、2024年1月にTVアニメ化が実現した。
その中で森田は「エセ関西弁で話す天然パーマで小太りな常連客」として登場する。明美を狙い続けているが、気持ちの悪い言動が多く明美には断られ続けているという設定で、作品のいわゆる"クソ童貞枠"を担っている。
実はこのエセ関西弁には理由がある。「その方が接しやすい陽気なキャラに見える」という自己暗示で使い始めたという設定なのだ。つまり森田は北海道民のはずで、関西とは無縁の人物である。知っているとより深くキャラを楽しめますね。
さらに、森田は単純な「笑いの的」ではなく、ときに鋭い本質を突く一面を持つ。「モテとるやつは全員悪党や…」といったセリフが共感を呼び、SNSやネット掲示板でたびたびバズってきた。これが作品内での存在感の大きさにつながっており、ファンの間では森田こそが事実上の主役だという声も多い。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 森田(もりた) |
| 立場 | スナックバス江の常連客 |
| 外見 | 天然パーマ・小太り・すきっ歯 |
| 話し方 | エセ関西弁(実は北海道出身) |
| 性格 | 童貞・強い性欲・稀に核心を突く |
| CV(アニメ版) | 岩崎諒太 |
森田の声優である岩崎諒太は、1986年7月1日生まれ、大阪府出身の男性声優だ。身長173cm、血液型はB型。アトミックモンキーに所属し、同時に劇団ヘロヘロQカムパニーの劇団員としても活動している。
声優デビューは2010年代。農業高校を卒業後、代々木アニメーション学院大阪校を経て上京し、アトミックモンキー声優・演技研究所の第5期生として訓練を積んだ。養成所時代には「方言の壁」に悩まされたというエピソードが残っており、関西弁のネイティブスピーカーでありながら、標準語演技でキャリアを積み上げてきた。
知名度が一気に広がったのは2019年からの『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』への参加だ。オオサカ・ディビジョン「どついたれ本舗」の白膠木簓(ぬるでささら)役を担当し、声優として初めてのラップに挑戦した。この役は現在も続くシリーズの人気キャラクターとして定着している。
また、2022年公開の映画『THE FIRST SLAM DUNK』では木暮公延(通称メガネくん)役として参加。名作の新作映画への抜擢は、大きなターニングポイントになった。
主な代表作をまとめると以下のようになる。
地声が大きいことでも有名で、バラエティ企画での声のデシベル測定では199dBという数字を叩き出したこともある。趣味はカラオケとものまねで、Mr.シャチホコの指導のもと3日間で10個のものまねを習得したというエピソードも残っている。多芸で個性的な声優だということですね。
岩崎諒太が森田役に決まった経緯は、一般的なイメージとは少し異なる。「主演級の人気キャラだから指名オーディション」と思いきや、実際は複数候補を絞ったうえでの指名オーディションという形式だった。芦名みのる監督・音響監督・プロデューサーの3者が厳選した少数候補で争った末に選ばれたのである。
オーディションを経て役が決まった後、岩崎は「受かったんだ!?」と驚いたという。作品の意外な意味での影響力——「森田こそが作品の顔」ともいえるような存在感——は、オーディション前には完全には把握しきれていなかったそうだ。役が決まってから原作を深く読み込む中で「大変な役だったんだな」という実感が芽生えてきた、と語っている。
演じる上での最大の課題は「エセ関西弁をどう扱うか」という問題だった。岩崎自身は大阪出身の本物の関西弁話者であるため、逆に「わざとエセにする」という作業が必要になった。これは想像以上に難しい作業だったという。
ところが、実際に収録に入ったところ芦名監督から「普通の関西弁でいいよ」という指示があった。原作のセリフを文字で追うと実は正しい関西弁として成立しているため、ネイティブの関西弁で演じても問題がなかったのだ。これが本物の関西人である岩崎に白羽の矢が立った一因ともいえる。これは使えそうです。
また、スナック全体のテンポとして「ゆったりとした会話の間」を重視していたため、ギャグシーンでついつい早くなりがちな森田のパートを「意識的にギアを落としながら演じる」という難しさもあった。他の現場にはない独特のアプローチが求められたということです。
キャラクターと演者の共通点は、しばしばキャスティングの「答え合わせ」のような楽しさを生む。スナックバス江の森田と岩崎諒太の場合、その一致度が特別に高い。
インタビューで岩崎自身が明言しているが、「考え方の発想のひねくれ方」が似ていると語っている。森田が思っていることをそのまま口に出してしまうのに対し、岩崎はそれを表には出さないだけで、根っこにある感覚は共通しているのだという。「まるで自分を見ているような気持ちになる」という言葉は、かなり本音に近い部分だろう。
ガジェット好きの面でも完全に一致している。森田が男のロマンを語るシーンに強く共感し、「自分も中学のときに十徳ナイフを買った」とまで打ち明けている。岩崎はApple製品など家電・ガジェットにも詳しく、スペックや機能にこだわる性格だ。
また人見知りの傾向も共通項として挙げられている。森田は明美や常連仲間の前では饒舌だが、初対面の相手には萎縮するという側面がある。岩崎もまた「関係値が築けていない人とは最初のやりとりで気持ち的に負けてしまう」と語っており、「初対面に弱い」という人見知り気質が重なっている。
こうした共通点が、アフレコ現場での自然な演技の実現を後押しした。「何を考えているのかわからない、と葛藤することはなかった」という言葉も、自分と近い感覚を持つキャラクターだからこその余裕だろう。岩崎にとって森田は「友達にほしい。でも、スナックで会ったときに一緒にしゃべるくらいでいい」という、絶妙な距離感のキャラクターなのだ。
参考:森田役・岩崎諒太によるキャスト詳細インタビュー(febri)
TVアニメ『スナックバス江』リレーインタビュー⑥ 森田役・岩崎諒太 | febri
TVアニメ『スナックバス江』において、森田は単に「喋るだけ」のキャラクターにとどまらなかった。第9話のノンクレジットエンディング映像では、岩崎諒太(森田役)が歌う「星空のディスタンス」が使用され、そのYouTube公開から1年足らずで再生数が10万回を超えている。
さらに2024年4月にはキャラクターソングCD「TVアニメ『スナックバス江』Cover Song Correction」がリリースされた。森田(岩崎諒太)feat.明美(高橋李依)で「SFラブストーリー」を収録しており、森田単独でも複数の楽曲が収録されている。
これはかなり意外ですね。ギャグ要員として愛される森田が、声優・岩崎の音楽パフォーマンスの場にもなっているのだ。岩崎は『ヒプノシスマイク』でラップに初挑戦した経験を持つが、スナックバス江では昭和歌謡やJ-POPのカバー路線でキャラクターのエモさを表現している。
岩崎自身はカラオケを趣味とし、歌への親しみは人一倍深い。その素地があったからこそ、森田のEDシーンがただのギャグで終わらず「ちょっといい話」として視聴者の心に刺さる仕上がりになったといえる。歌が本質的な武器になっているということです。
また、W森田企画(芸人ぐんぴぃ=バキバキ童貞との共演)や公式の動画企画なども展開されており、声優としての岩崎諒太とキャラクターとしての森田が二重に愛される構造が生まれているのが、この作品の独特な強みとなっている。
参考:スナックバス江公式アニメサイト(キャストコメント・キャラクター情報)
TVアニメ「スナックバス江」公式サイト
参考:アニメ化経緯と明美・森田役声優へのロングインタビュー(電ファミニコゲーマー)
『スナックバス江』は、どうやってアニメ化されたのか? 明美役×森田役×監督 | 電ファミニコゲーマー