セレスとの親密度を上げても、塔の探索を後回しにし続けるとエンデが先にセレスに喰われてゲームオーバーになります。
『パンドラの塔 君のもとへ帰るまで』は、任天堂とガンバリオンが共同開発し、2011年5月26日にWii向けに発売されたアクションRPGです。ジャンルはアクションRPGでありながら、恋愛シミュレーション的な要素も兼ね備えた異色の作品として知られています。
舞台はグラエキア大陸に存在するエリュシオン王国。エリュシオンと軍事大国アテナイの戦争が一応の終結を迎えた時代を背景に、収穫祭の巫女として歌を捧げていた少女セレス(CV:能登麻美子)が突然「獣の呪い」にかかってしまうことから物語が始まります。呪いは時間とともに進行し、最終的にセレスを醜い獣の姿へと変えてしまうというものです。
主人公エンデ(CV:千葉進歩)は22歳のアテナイ出身の青年で、戦火の中で傷つきセレスに助けられた過去を持ちます。エンデはドヴェルグ族の老婆グライアイ(CV:谷育子)から「オレイカルコスの鎖」を託され、呪いを解く鍵となる「主肉(あるじにく)」を手に入れるべく、軍の隔離施設「十三訃塔(じゅうさんふとう)」へと赴きます。つまりゲームの目的は単純明快です。
セレスを人間に戻すことが原則です。
ゲームの最大の特徴は、「獣化ゲージ」と呼ばれる時間制限システムにあります。画面左下に常に表示されているこのゲージが尽きるまでに、外僕(ざこ敵)の肉を持ち帰ってセレスに与えるか、もしくは主肉を持ち帰らなければなりません。ゲージが0になると即座にゲームオーバーとなり、セレスが完全な獣と化してエンデを喰い殺すムービーが流れます。
監視塔に帰れば獣化は進行しない点も覚えておきましょう。
このゲームはCERO:C(15歳以上対象)レーティングを受けており、任天堂のパッケージタイトルとしてはCERO:Cが付いた3作目にあたります。ヒロインが化け物の肉を食べなければならない設定と、呪いによる外見の変貌シーンがその主な理由と考えられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ジャンル | アクションRPG |
| 対応機種 | Wii(後にWii Uダウンロード版) |
| 発売日 | 2011年5月26日(日本) |
| 定価(当時) | 6,800円(税5%込) |
| CERO | C(15歳以上対象) |
| プレイ人数 | 1人 |
| クリア時間目安 | 約20時間 |
参考:任天堂公式によるゲーム概要とキャラクター紹介ページ
開発元・ガンバリオン公式の制作実績ページ(パンドラの塔 君のもとへ帰るまで)
十三訃塔は、その名のとおり13基の塔から構成される巨大な建造物です。王都から離れた荒野「オケアノス」にある大渓谷「オケアノスの爪痕」に、巨大な鎖で吊るされるように存在しています。大小12の塔が中央の万象の塔を取り囲む複雑な構造になっており、それぞれの塔の内部は同じ建造物とは思えないほど個性豊かな様相を呈しています。
もとはエオス教の神殿だった建物を、50年ほど前にエリュシオン軍が軍事施設として改装したという裏設定があります。その経緯から、塔の内部には軍事実験の痕跡が残る「紙片」が多数散在しており、それを集めることでゲームの世界観を深く理解できる仕組みになっています。これは意外ですね。
代表的な塔の特徴は以下のとおりです。
攻略時に注意が必要なのは、「どこまで進むか」の判断です。塔内にはショートカットとなる梯子を降ろせる箇所が複数あり、一度開通させれば次回以降の探索が大幅に短縮されます。高所から落ちても受け身をとればノーダメージなので、帰還にはほとんど時間がかかりません。
ショートカットの活用が基本です。
ただし、「もう少しだけ……」と欲張ってショートカット開通後もそのまま探索を続けると、気づいたときには獣化ゲージが危険域に入っているというケースが頻発します。初見プレイでは特に時間感覚が掴みにくいため、ゲージの残量を頻繁に確認しながら進むことを強くおすすめします。
また、塔内の時間帯によって出現するレアアイテムが変化します。監視塔でエンデを眠らせることで時間を進めることができるため、特定アイテムを狙う場合は事前にグライアイから情報を聞いておくのが効率的です。
参考:各塔の詳細情報と攻略情報
パンドラの塔 君のもとへ帰るまで 攻略Wiki(よくある質問・攻略Tips)
オレイカルコスの鎖は、パンドラの塔の戦闘・探索・謎解きすべての核心となる武器です。ドヴェルグ族に伝わる不思議な鎖で、Wiiリモコンのポインターを使い直感的に操作できます。Bボタンを押してポインターを向けた先に鎖を打ち出すというシンプルな操作ながら、その活用幅は非常に広いです。
鎖の主な使い方は次のとおりです。
1対1の戦闘では、鎖で拘束してから引きちぎるという基本コンボがほぼ最強の手段となります。複数戦では、敵の1体を鎖で拘束し、それを別の敵集団に「投げつける」ことで連鎖的なダメージが入れられます。これは使えそうです。
ただし複数戦では鎖の巻き取り中に被弾すると拘束が解け、溜めたゲージも消えてしまうため、第2武器との使い分けが重要になります。
第2武器は3種類から選べます。
対複数戦では大鎌が有効です。
主(ボス)との戦闘では、主の弱点部位である「主肉」に鎖を打ち込み、引きちぎることでダメージを与えます。塔内に落ちている紙片を集めてセレスに解読させると、それぞれの主の攻略ヒントが明かされる仕組みも用意されており、探索と戦闘が有機的に繋がっている点がこのゲームの設計の巧みさです。
主戦はゲームの山場です。
なお、エンデの体力が尽きた場合はゲームオーバーにならず、その場でリトライとなります。ゲームオーバーの条件は獣化ゲージが0になることのみという点も覚えておきましょう。
参考:鎖の操作と戦闘システムの詳細解説
Game Watch Impressによるパンドラの塔レビュー(鎖アクションの詳細に触れた詳細記事)
本作の最大の特徴の一つが、5種類に分岐するマルチエンディングです。エンディングの分岐を決めるのは「親密度ゲージ」と呼ばれるパラメータで、これはセレスとの会話やプレゼント、探索中の行動によって上下します。
親密度を上げる主な行動は以下のとおりです。
逆に、外僕の体液などの「ゲテモノ」をプレゼントしたり、獣化を進行させてしまったりすると親密度が下がります。親密度はエンディング分岐に直結するため、特にSエンドを狙う場合はゲージを常に意識しながら進める必要があります。
最初のエンディング分岐点は「9つ目の主肉を渡した時」です。この時点での親密度が低すぎると(ゲージ1段階未満)、強制的に親密度D「断絶」エンドへ突入します。
5種類のエンディングをまとめると次のとおりです。
| エンディング名 | 必要親密度 | 概要(ネタバレ注意) |
|---|---|---|
| S:紡がれた鎖 | ゲージ8段階以上 | 呪いが解け、二人が幸せになる真のハッピーエンド |
| A:共に永遠を | ゲージ6~7段階 | 呪いが解けず、二人で心中する悲恋エンド |
| B:あなたの為 | ゲージ5段階前後 | セレスが一人で爪痕へ身を投げるエンド |
| C:それでも一緒に | ゲージ3段階前後 | 軍に捕らえられ生物兵器として利用されるエンド |
| D:断絶 | ゲージ1段階未満 | エンデがセレスを鎖で撃ち殺してしまう最悪エンド |
注目すべき点は、親密度SのエンディングのみでSのエンドを見ないと分からないゲームの根幹に関わる重要な真実が明かされることです。つまり、真エンドを見るだけで、物語の全体像がようやく明らかになるという構成になっています。これは意外ですね。
全エンドを回収する効率的な方法は、最初に親密度D「断絶」から見ることです。このエンドを残した状態で先に進むと、CランクのクリアデータをロードしてC→B→A→Sの順に見ていくことになり手間がかかります。最初にDを見ておくことで、その後は親密度を徐々に上げながら順番に回収できます。
エンディングの回収効率が条件です。
また、ラスボスの強さもエンディングによって変化するという特徴があります。高い親密度のエンディングほどラスボスの行動パターンが増え、難易度が上昇します。ハッピーエンドを目指すほど戦闘が厳しくなるというのは、なんとも皮肉な設計といえるでしょう。
参考:エンディング詳細と親密度の仕組み
パンドラの塔 攻略Wiki(エンディング分岐の詳細・グライアイのセリフによる確認方法)
本作には、多くのプレイヤーが知らない興味深い開発・リリースの背景があります。まず、ゲームの核心アイデアの一つである「セレスが獣肉を食べることで呪いの進行を止める」というコンセプト。これは開発元ガンバリオンの代表取締役社長・山倉千賀子氏が駅弁を食べていた時に閃いたアイデアだといわれています。壮大なダークファンタジーが駅弁から生まれたというのは、なんとも意外な話です。
また、北米での発売に関しても大きなエピソードがあります。本作は当初、北米での発売予定がありませんでした。しかし北米のゲームファンたちが「ゼノブレイド」「パンドラの塔」「ラストストーリー」という3作品の発売を任天堂アメリカに懇願する活動「オペレーション・レインフォール」を立ち上げ、大きな話題を呼んだのです。
その結果、本作と「ラストストーリー」はマーベラスAQLの子会社・XSEED Gamesを通じてローカライズされ、2013年4月16日に北米版が発売されました。ファンの熱意が海外リリースを実現させたという、ゲーム史に残るエピソードといえます。
Wii U向けのダウンロード版は2015年3月4日にニンテンドーeショップで配信が開始されており、2,700円(税8%込)で購入が可能でした。Wii U GamePad単体でもプレイできる仕様になっています。
さらにあまり知られていない点として、本作のBGMについても触れておきます。楽曲は曲数こそ少ないものの、クラシック曲をアレンジしたものが多く採用されています。特にフランツ・リストの「愛の夢 第3番」をアレンジした「永遠の恵みよ」は、セレスがアカペラで歌うシーンも含め、プレイヤーから絶大な支持を受けています。なおこの曲、親密度Sのエンディングを達成するとタイトル画面でセレスが歌うようになります。また、サントラは現在に至るまで発売されていません。入手手段がない名曲というのも、本作の「隠れた名作」らしい一面かもしれません。
2021年5月26日に本作は10周年を迎えましたが、Nintendo Switch向けのリマスターは現時点では未発表のままです。ゼノブレイドのようにスイッチで復活する日を待ち望むファンは今も少なくありません。
参考:本作の開発経緯・海外展開に関する一次情報
任天堂「社長が訊く」パンドラの塔 君のもとへ帰るまで(開発スタッフへのインタビュー)