鈴木亮平が役のために40日間で30kgも太り高校生を演じています。
鈴木亮平が演じた剛田猛男は、原作での設定が身長2メートル・体重120kgという規格外の体格の持ち主です。その設定に近づけるため、鈴木亮平(当時32歳・身長186cm・通常時体重約76kg)は、わずか40日間で30kgもの増量を敢行しました。最終的な体重は約106kg。100kgを超える俳優が高校生を演じるという光景は、映画史上でも異色の部類に入ります。
増量の手段として鈴木が活用したのは、好物の蒸しパンを大量に食べること。「20分間が勝負。これを詰め込むんです」と自ら語っており、単に食べ続けるだけでなく、カロリーコントロールを緻密に行う自己流プランに沿って体を仕上げていきました。これはまさにプロのアスリートに近い管理体制です。
つまり、ただ「太った」のではなく「計算して大きくなった」ということですね。
注目すべきは、この前後のタイムラインです。鈴木はドラマ『天皇の料理番』(2015年)の役作りで20kgの減量を経験したばかりでした。激しい減量の直後に今度は30kg増量というジェットコースター級の体重変化を1年以内にこなしたことになります。原作者の河原和音先生も「この撮影に入る前、ドラマですごい痩せてたのに。よく受けてくれたな」と驚きを隠せなかったほどです。
また、体型だけでなく日焼けにも気を配り、「肌の色が白いと血色が悪く見えてなんか違う」という河原先生の指摘を先読みするかのように、自主的に肌を焼いてから撮影に臨んでいます。肉体・肌・立ち振る舞いすべてを猛男に近づける総合的な役作りでした。役への情熱が、原作者をして「もう何の不満もないですね」と言わしめた最大の要因といえます。
「俺物語!!」猛男役に鈴木亮平、気合い十分の役作りで30キロ増量(ナタリー)
大和凛子を演じた永野芽郁は、2015年の映画公開時点で16歳(撮影時は15歳)という現役高校生でした。役を獲得したのはオーディション。当時すでにファッション誌「ニコラ」のモデルとして活動し、映画『るろうに剣心』にも出演経験はありましたが、映画の主要ヒロインに抜擢されるのは本作が実質的な初めてとなります。
原作者のアルコ先生は「大和は15歳の方にやってほしいなって思っていた」と明言しており、その条件に合致したことが選ばれた大きな理由のひとつです。現役高校生の演者だからこそ滲み出る「初めて恋を知った感じ」が、リアルにスクリーンに映し出されていたと原作者も絶賛しています。
意外なエピソードとして知られているのが、仙台での撮影期間中の逸話です。当時まだ16歳で、一人では心細くなることも多かった永野のそばに、鈴木亮平がオフの日も積極的に付き添い、ボウリングやカラオケに連れて行っていたと伝えられています。年齢差16歳の共演者が親のように気にかけていたわけで、撮影現場の温かい空気が映画の雰囲気にも通じていたのかもしれません。
また、主要3キャストの年齢を並べると32歳・24歳・16歳という構成で、平均年齢は24歳。3人全員が「16歳の高校1年生」を演じていたという事実は、当時映画メディアでも大きな話題になりました。これは使えそうです。実際に見ると違和感を感じさせないのは、それぞれのキャスティングが原作の本質を捉えていたからこそといえます。
ネクストブレイク筆頭株か? 『俺物語!!』ヒロインに抜擢された16歳=永野芽郁の魅力(リアルサウンド映画部)
砂川誠を演じた坂口健太郎(当時24歳)は、MEN'S NON-NOのモデルとして人気を博しながら、映画『娚の一生』『海街diary』『ヒロイン失格』と立て続けに話題作への出演を重ねていた時期に本作でキャスティングされました。原作者のアルコ先生は「本当に好きな顔で嬉しかった」と語り、「あっさりめのキレイな顔。私のマンガに坂口さんを登場させるとしたら砂川みたいな顔になる」と断言するほどのハマり役です。
坂口にとっても砂川役は「バランスを取るのが上手い人。でも猛男を本当に大切に思っているから」という解釈を持って臨んだ役であり、ただのイケメンポジションを超えた感情の機微を表現することに注力しています。休憩中も本を読んでいる姿が自然と様になっていたというエピソードは、砂川誠そのものといえます。
脇を固める俳優陣も豪華です。
| 役名 | 俳優 | 備考 |
|------|------|------|
| 剛田豊(猛男の父) | 寺脇康文 | ドラマ「相棒」の亀山刑事役で知名度抜群 |
| 剛田ゆり子(猛男の母) | 鈴木砂羽 | 寺脇と「相棒」コンビで「亀山夫婦だ!」と話題に |
| 山崎菜々子 | 森高愛 | 猛男のクラスメイト |
| 中尾明慶 | 中尾明慶 | 個性派俳優として当時注目されていた存在 |
特に猛男の両親役を「相棒」の亀山夫婦コンビが演じたことは、公開前からSNSで「亀山夫婦がっ!」と大盛り上がりを見せました。猛男の両親は原作でも強くて優しい夫婦として描かれており、そのイメージと寺脇・鈴木のキャラクターが見事に合致していたと言えます。
実写版『俺物語!!』猛男の両親役、寺脇康文&鈴木砂羽に決定(シネマトゥデイ)
映画の撮影は全編、宮城県で行われました。仙台市の定禅寺通り、仙台城南高等学校(劇中では「集英高等学校」として使用)、八木山ベニーランド、七北田公園、仙台メディアテークなど、市内各所が撮影地として活用されています。東京を舞台とした少女漫画のイメージを持っていた原作ファンにとっては、宮城ロケという点も意外な要素でした。
宮城が選ばれた理由は公式には明かされていませんが、仙台という「地方都市らしい清潔感のある風景」が、猛男や凛子の純粋な恋愛観と合っていたという見方もあります。緑豊かな定禅寺通りや、ローカルな遊園地である八木山ベニーランドのシーンは、映画全体に漂う温かみと無垢さを視覚的に補強しています。厳しいところですが、ロケ地を活かした映像の雰囲気作りは成功していたといえます。
また、この撮影期間中に当時16歳の永野芽郁が仙台で一人生活を送っていたことも知られるエピソードです。慣れない土地での一人暮らしを鈴木亮平らがサポートするなど、キャスト同士のチームワークも映画の多幸感に繋がっていたと語られています。
ロケ地を訪れるファンも多く、七北田公園では猛男・大和・砂川の3人がシーンを撮影した場所として今もファンの聖地巡礼スポットとなっています。原作ファンや映画ファンがロケ地を訪問することで「映画の空気を追体験できる」という形での楽しみ方も広がっています。
俺物語!!のロケ地紹介・宮城県仙台市ほか(地ムービー!映画情報)
映画『俺物語!!』の実写化において、原作者である河原和音先生とアルコ先生が唯一最初からリクエストしていたのは「猛男が卑屈に見えないようにしてほしい」という一点でした。猛男というキャラクターは、見た目の強さと純粋な心根のバランスが崩れると途端に感じの悪いキャラになりかねない。それだけデリケートな役どころだったのです。
結論は「鈴木さんはそういう演じ方を一切しない方だった」という全面的な信頼の言葉に集約されます。
実は2人が「猛男は誰がいいか」と担当編集者に聞かれた際、冗談半分で「鈴木さんがやってくれたらいいですね」と答えていたというエピソードも公になっています。それが本当に実現したことへの驚きと喜びは相当なものだったようです。さらに遡ると、本作の実写化の話自体は原作第1巻のころからあったものの、「猛男を演じられる俳優がいない」「猛男はCGで」という案まで出るほど難航していた時期があったと明かされています。CGで演じるという提案が出るほど、猛男の実写化は困難だと考えられていたわけです。
永野芽郁については、「現役高校生の15歳だからいい」という明確な思いを原作者が持っていたことが重要です。単に演技力の問題だけでなく、実際の年齢がキャラクターのリアリティに直結していると考えていた。そのこだわりがオーディションという形で反映され、結果として最も適した人材が選ばれたといえます。
坂口健太郎については、アルコ先生が「本当に好きな顔」と語ることに加え、「はしゃがないんだけどちゃんと若い」という砂川誠の本質的な雰囲気をそのまま体現していたことが決め手でした。これが条件です。3人のキャスト全員が、見た目だけでなくキャラクターの本質を理解・体現できる人物として選ばれていたという事実は、この映画のキャスティングが単なる話題作りではなく、原作への深いリスペクトによって行われていたことを示しています。
『俺物語!!』原作の漫画家コンビが明かす実写映画化の真相(オリコン)