コードを全部覚えてから弾き始めると、上達が2倍遅くなります。
「風になる」は、スタジオジブリ映画「猫の恩返し」(2002年公開)の主題歌として生まれた一曲です。作詞・作曲・歌唱はすべてつじあやのさんが担当しており、彼女の6枚目のシングルとしてリリースされました。リリースから20年以上が経過した現在も根強い人気を誇り、ライブでは必ずセットリストに入る代表曲となっています。
曲のキーはCメジャーで、カポタストなしでそのまま演奏できます。BPMは約136と、やや速めのテンポ設定です。4/4拍子で、8ビートのストロークパターンが基本となるため、ストロークの練習曲としても広く活用されています。
使用コードは、C・Am・F・G・Em・Fm・D7・Dm7・B♭の9種類です。一見多く感じるかもしれませんが、メインとなるのはC・Am・F・Gの4つのコードで、楽曲全体の約7割をこの4コードがカバーしています。残りのコードはBメロや後奏などの特定セクションにのみ登場するため、段階的に覚えていけば問題ありません。
つじあやのさん本人がウクレレを抱えて歌うスタイルで知られており、この曲は本来ウクレレ弾き語りが似合う楽曲でもあります。ただしギターでの弾き語りも非常にポピュラーで、弾き語り入門曲として多くのギター教室やYouTubeレッスン動画で取り上げられています。つまりギターでもウクレレでも楽しめる曲ということですね。
参考:楽器.me「風になる」初心者向け簡易コードVer
https://gakufu.gakki.me/m/data/big00386.html
まずイントロのコード進行を確認しましょう。イントロはF・Em・Am・G(×2)→D7・Gという流れです。Fmaj7でスタートし、チェロのような音色をギターのアルペジオで再現するのが原曲の雰囲気に近くなります。
Aメロ(Aブロック)はシンプルです。C→Am→F→GおよびEm→Am→F→Gの繰り返しが基本で、ローコード中心の構成となっています。ローコードとは1〜3フレットあたりを押さえる開放弦を含む和音のことで、ギター初心者がまず覚えるべき基本中の基本です。C・Am・F・Gが基本です。
Bメロ(Bブロック)になると少し難しくなります。F→Fm→C→Am→D7→G→Am→G という進行が登場します。注目すべきはF→Fmの変化で、Fコードから中指を外すだけでFmに変わります。このシンプルな動きが、曲に独特のほろ苦さを加えています。意外ですね。
サビはC→G→Am→G→F→C→D7→Gというコード進行です。これはいわゆる「カノン進行」をベースにした構成で、ベース音がCからB、Am、Gへと段階的に下降していきます。この下降するベースラインが心地よい安定感を生み出しています。原曲を忠実に再現したい場合は、GをG/B、EmをEm/Gとオンコード表記にすることで、低音弦の流れがより自然になります。ただし初心者ならG・Emの通常形でも十分です。
後奏部分はC→D7→Fm→Gの繰り返しで締めくくられ、最後にB♭→F→Fm→G→Cへと着地します。後奏のFmとB♭は難度が上がるため、最初は省略してもOKです。
参考:J-Total Music「風になる〜初心者向け簡単コードVer.」
https://music.j-total.net/data/018tu/001_tuji_ayano/001-e.html
初心者が最も苦戦するのがFmとD7です。まずはFmから見ていきましょう。
FmはFコードの形から中指を離すだけで作れます。ただし、人差し指のセーハ(1本の指で複数の弦を一気に押さえる技術)がしっかり決まっていないと音がビビってしまいます。人差し指の側面(第一関節付近)で弦をしっかり押さえるのがコツです。どうしても鳴らない場合は、中指を人差し指の上に重ねて圧力を増す方法も有効です。Fmは押さえかたが鍵です。
D7はウクレレとギターで少し対応が異なります。ギターの場合、D7は人差し指・中指・薬指で1〜3弦の2フレット周辺を押さえる形です。ただしD7/F#(D7オンF#)という表記になる箇所では、親指で6弦3フレットを押さえる必要があります。これが難しければ、6弦はミュートしてD7の通常形に省略しても演奏は成立します。ウクレレの場合、D7はセーハを使う押さえ方と人差し指だけで2弦2フレットを押さえるシンプルな方法の2種類があり、初心者には後者がおすすめです。
さらにコードチェンジのタイミングが重要です。コードをすべて完璧に押さえてから次のコードに移ろうとすると、必ず音が途切れてしまいます。実際のプロのコツは「次のコードの形を先に頭の中で作り始めながら現在のコードを弾く」という前倒し思考です。研究によると、コードチェンジが速くなるまでにかかる時間は練習開始から平均約10時間とされています。毎日30分練習すれば約3週間で感覚がつかめる計算です。焦らず練習するのが基本です。
また、コードチェンジの直前に1音だけきれいに鳴らせれば、移行のもたつきはほとんど聞こえなくなります。特にAmからFへの切り替えは多くの初心者がつまずく箇所です。AmからFへ動くとき、Amの薬指をそのまま2弦1フレットへスライドさせるように動かすと、指の移動量が最小限に抑えられます。
参考:「風になるがギター初心者でも弾ける?Tabと簡単弾き方解説!」
https://guitarous.com/kazeninaru-lesson/
「風になる」は8ビートのストロークパターンがメインです。8ビートとは1小節に8回(ダウン4回+アップ4回)ストロークするリズムのことで、ポップスやJ-POPで最も一般的なリズムパターンです。
基本的なパターンは「↓↑↓↑↓↑↓↑」ですが、実際には4拍目のアップをわずかに強調してグルーヴ感を出す演奏が多いです。最初は「↓↓↑↓↑↓↑↑」という変形8ビートでも良く、大事なのはテンポを一定に保つことです。
ウクレレの場合、ギターよりも弦の張りが弱いため、ストロークの力加減が音質に大きく影響します。強く弾きすぎると音がビビり、弱すぎると音量が出ません。人差し指の腹(指紋がある側)でやわらかくなでるような感覚が理想です。これは使えそうです。
サビ前の「G→Am→A♯dim→G」へのコードチェンジは、この曲の最大のハイライトです。「君のためいきなんて、春風にかえてやる」の「かーえてやる」の部分です。このコードチェンジはアップストローク(↑)のタイミングで行うと、歌詞との乗り(ノリ)が格段によくなります。ここだけは意識的に練習しましょう。A♯dimというコード名に驚くかもしれませんが、押さえ方は決して難しくありません。ウクレレなら1弦1フレット・2弦2フレット・3弦2フレット・4弦1フレットです。ポジションを覚えてしまえば問題ありません。
練習は必ずゆっくりしたテンポから始めましょう。BPM136の原曲テンポは、初めて弾く人には速すぎます。最初はBPM70〜80(原曲の約半分)でコードチェンジを練習し、徐々にテンポを上げていくのが最短の上達ルートです。テンポを半分に落として練習するのが原則です。
メトロノームアプリを使うと効率が上がります。スマートフォン無料アプリ「GuitarTuna」や「Metronome Beats」などは、BPMの設定からチューニングまで対応しており、練習環境の整備に役立ちます。
ギターとウクレレでは、同じ曲を弾く場合でも意識すべき点がまったく異なります。ここでは独自の視点から楽器ごとの攻略ポイントを整理します。
まずギター(アコギ)の場合です。「風になる」はCキー・カポなしで弾けるため、最初からカポタストは必要ありません。ただし声域によっては歌いにくい場合があります。男性がつじあやのさんの原曲キーで歌おうとすると高く感じることが多く、カポ1〜3あたりにして逆に移調する(キーを上げる)方が歌いやすくなるケースがあります。声域に合わせてカポを調整するのが条件です。
コードを鳴らす際、Fコードは最初から完璧に押さえなくて大丈夫です。1・2弦だけが綺麗に鳴っていれば、弾き語りとして曲の流れを止めずに演奏できます。実際に多くのプロミュージシャンも「100点のFより、80点のFで曲を止めないことの方が大切」と語っています。厳しいところですね。
ウクレレの場合、ギターより弦数が少なく(4本)コードの形が全般的にシンプルです。同じF、G、Amでも、ウクレレではたった1〜2本の指で押さえられるものが多く、初心者にとってはギターより圧倒的に挫折しにくい楽器です。例えばウクレレのCコードは、4弦3フレットを薬指1本で押さえるだけで完成します。実際、「風になる」をウクレレで弾いたことがきっかけで楽器演奏が本格的に好きになったという初心者が多く、ウクレレは弾き語り入門の入口として非常に優れた楽器です。
ギター・ウクレレどちらを選ぶにせよ、まず「Aメロだけ通して弾けるようになる」という小さな目標を立てることが継続の秘訣です。一曲まるごと完璧に弾こうとすると、達成感が得られるまでに時間がかかり、途中で諦めてしまいがちです。最初はAメロだけでOKです。Aメロを1週間練習→Bメロ1週間→サビ1週間という3段階アプローチが、最も挫折しにくい学習法として多くの講師に推奨されています。
参考:ウクレレのとりこ「『風になる』をウクレレで弾き語り!コードと弾き方プチ解説!」
https://ukulelenotoriko.com/kazeninaru