ちいかわは、もともとモーニングに一切関係がないと思っていませんでしたか?
「クッキングパパ」と「ちいかわ」は、一見まったく接点がないように思える作品同士です。しかし実は、2つの作品には決定的な共通点があります。どちらも講談社が発行する週刊漫画雑誌「モーニング」に関係している点です。
クッキングパパは1985年からモーニング誌上で連載を続ける長寿作品です。一方のちいかわは、2020年よりX(旧Twitter)を発祥とするWeb漫画ですが、単行本の発行元は同じく講談社のモーニング編集部です。
つまり「同じ出版社の同じ編集部」という共通点が、このコラボを可能にした最大の理由です。
最初のコラボが実現したのは2021年8月19日発売の「モーニング」38号でした。このコラボが企画された直接のきっかけは、ちいかわ単行本2巻の発売記念です。2巻は2021年8月23日に発売が予定されており、その前夜祭として「モーニング」の誌面を使った大規模なちいかわ特集号が組まれました。その特集の目玉の一つとして、クッキングパパ×ちいかわのコラボ表紙が実現したのです。
同号では表紙コラボだけでなく、クッキングパパの本編漫画にちいかわキャラクターが登場する描き下ろし回(第1580話「夏にスッキリ キュウリとキクラゲの佃煮‼」)が掲載されました。さらにナガノ氏直筆サイン入り単行本2巻の読者プレゼントや、コラボQUOカードの抽選プレゼントなど、誌面全体が「ちいかわ祭り」の様相を呈していました。
同じ編集部内の連携だからこそ、ここまで大掛かりなコラボが実現できたということですね。
講談社モーニング公式:「ちいかわ×クッキングパパ」コラボ表紙号の詳細はこちら
2021年モーニング38号に掲載されたコラボ回、第1580話「夏にスッキリ キュウリとキクラゲの佃煮‼」の内容は、多くの読者に意外な印象を与えました。
話のあらすじはこうです。荒岩一味の部下である田中が夏バテで悩んでいたところ、荒岩の祖母と偶然出会い、家に招かれます。そこで夏バテ防止に効果的なカリウムが豊富なキュウリとキクラゲの佃煮をのせた冷奴やごはんをごちそうになり、元気を取り戻すという、いつも通りのクッキングパパのストーリーです。
「あれ、ちいかわはどこに出てくるの?」と疑問に思った読者も多いはずです。
ちいかわが登場するのは最後の1ページのみです。料理を食べ終わった食卓に登場人物たちがいなくなった後、場面に現れたちいかわがキュウリとキクラゲの佃煮をパリパリと食べて笑顔になる、という形でオチとして登場します。たった1ページの登場にもかかわらず、クッキングパパの原作者であるうえやまとち先生が直接ちいかわを描いたという点で、非常に希少な回となっています。
ナガノ先生以外の作家が「公式として」ちいかわを描くという事例は極めて珍しいです。その意味でも、コラボ1580話は漫画史的にも記録しておく価値のある回といえます。
コミックナタリー:クッキングパパ×ちいかわ最初のコラボ詳細記事
2022年7月22日に発売された「クッキングパパ」162巻のコラボ表紙は、ちいかわファンの間でひとつの"事件"と受け取られました。単なるコラボ表紙を超えた情報が含まれていたからです。それがちいかわのリアルなサイズです。
荒岩一味の公式プロフィールには、身長180cm・体重80kgという数値が明記されています。162巻の表紙イラストでは、ちいかわ・ハチワレ・うさぎが荒岩の顔の横あたりに描かれています。その比率から推測すると、ちいかわの身長はおよそ15〜20cm程度ではないかとSNS上で話題になりました。
ちなみに日本人成人の顔の長さの平均はおよそ23cmとされています。表紙のイラストをもとにすると、ちいかわは人間の顔よりも小さい存在ということになります。
これは意外ですね。
「一口で食べられそうなサイズじゃないか」「思ったよりずっと小さかった」という反応がSNS上に広がりました。作中では明確なサイズ設定が存在しないちいかわですが、クッキングパパとのコラボが「公式比較対象」として機能したことで、長年のファンが抱いていた疑問に一定の答えが出た形となりました。
ここで少し立ち止まって、クッキングパパという作品そのものについて深く知っておきましょう。ちいかわとのコラボがなぜ「話題性が高かった」のかを理解するには、クッキングパパの圧倒的なスケール感を知ることが重要です。
クッキングパパは1985年に連載開始され、2025年には連載40周年を迎えた超長寿作品です。累計発行部数は4,000万部を突破しており、単行本は2026年時点で176巻を越えて継続発行されています。連載話数は1,600話以上に達しており、これは講談社の漫画雑誌連載作品の中でも最長クラスの記録です。
作品の舞台は福岡・博多で、主人公の荒岩一味(あらいわかずみ)はサラリーマンでありながら料理の達人です。毎回実際に作れるレシピが掲載されているのが最大の特徴で、長期連載を支える人気の柱となっています。つまり「料理漫画」と「家族ドラマ」という二軸が読者を何十年も引き付け続けている作品です。
このような圧倒的な歴史と実績を持つ作品に、SNS発の現代キャラクターちいかわが登場したからこそ、ギャップが大きな話題を呼んだということですね。
| 項目 | クッキングパパ | ちいかわ |
|---|---|---|
| 連載・発信開始 | 1985年(モーニング) | 2020年(X/旧Twitter) |
| 発行元 | 講談社モーニング | 講談社モーニング(単行本) |
| 累計発行部数 | 4,000万部以上 | 急速に拡大中 |
| 舞台 | 福岡・博多 | ファンタジー世界 |
| テーマ | 料理・家族・人情 | 日常・労働・仲間 |
クッキングパパとちいかわのコラボは1回だけで終わりませんでした。この2作品のコラボには続きがあります。
2021年の表紙・本編コラボ、2022年の162巻収録コラボに続き、2024年1月11日発売のモーニング2024年6号では「新春まんぷくコラボシール」という付録シールが登場しました。このシールは、ちいかわに登場するキャラクターたちが食べ物を食べるシーンに、クッキングパパでおなじみの食事擬音(「ハフハフ」「ガブリ」など)を組み合わせた、非常にユニークな内容です。
さらにこのシールには、第1580話(クッキングパパコラボ回)に登場した「クッキングパパ風うさぎ」のイラストも収録されました。これはうえやまとち先生がちいかわのキャラクターをクッキングパパタッチで描いたもので、ファンからは「貴重すぎる」と高い評価を受けています。
コラボが3度にわたって行われた背景には、ちいかわの急成長があります。ちいかわは2022年から2023年にかけて越境ECグッズの購入件数が1590%増加するほどの国際的な人気を獲得しており、コラボの話題性が毎回増していったことが要因と考えられます。
講談社モーニング公式:2024年「新春まんぷくコラボシール」詳細ページ