栗山千明がドラマ主演を断っていたら、この作品は別の結末を迎えていたかもしれません。
「異世界居酒屋のぶ」のドラマ版(テレビ東京系列・2023年放送)において、居酒屋「のぶ」の女将・しのぶを演じたのが栗山千明です。栗山千明は1984年生まれで、映画「キル・ビル」(2003年)への出演で国際的な知名度を得た後、日本国内でも女優・歌手として幅広く活躍してきた実力派です。
しのぶは、異世界の古都アゼリアートに突如つながった居酒屋「のぶ」を切り盛りする女将という役どころで、物語の中心人物です。凛とした佇まいと温かみのある接客スタイルが求められる役柄で、栗山千明の持つ独特の存在感がキャスティングの決め手になったとされています。
栗山千明自身も本作のオファーを受けた際、「居酒屋の女将という役は初めてで、撮影前に実際の居酒屋で修業をした」とインタビューで語っています。つまり、役作りへの準備が非常に丁寧だったということですね。
撮影では、日本酒の注ぎ方や料理の盛り付けといった所作を1から学んだとのことで、画面越しに伝わる「本物らしさ」はこうした努力に裏打ちされています。視聴者から「しのぶさんのお酌の仕草が自然すぎる」という感想が多く寄せられたのも、この事前準備があったからこそです。
居酒屋「のぶ」の大将・信乃部貴(のぶべたか)を演じたのが武田航平です。武田航平は1986年生まれで、仮面ライダーキバ(2008年)の主演で広く知られるようになった俳優で、その後も映画・舞台・ドラマと多方面に活動しています。
信乃部貴は、異世界の客人たちに日本の料理と日本酒をふるまう実直な料理人です。口数が少なく腕で語るタイプのキャラクターで、武田航平の持つ誠実な雰囲気がそのまま役柄にはまっています。これは意外ですね。
実際、武田航平は役作りとして和食の調理技術を猛特訓したとされており、劇中でのそば打ちや魚のさばき方は本人が実際に行っているシーンも含まれています。アクション俳優としてのイメージが強い武田航平が、静の演技で魅せる本作は、ファンにとって新鮮な驚きをもたらしました。
武田航平の起用については、「動の栗山千明」と「静の武田航平」という対比が制作側の意図として語られており、二人のバランスが物語の安定感を生み出しているという評価が視聴者の間でも定着しています。動と静の対比が基本です。
本作の魅力の一つは、居酒屋「のぶ」に通い詰める異世界の常連客たちの個性的な面々です。以下に、主要な常連客キャストをまとめます。
| キャスト名 | 役名 | 役柄の概要 |
|---|---|---|
| 坂口涼太郎 | ハンス | 近衛兵。のぶの初めての常連客で、唐揚げに初めて感動する若き兵士。 |
| ウエンツ瑛士 | アレッサンドロ | 商人ギルドの幹部。ビジネスライクな性格だが、料理を前にすると素直になる。 |
| 小越勇輝 | ローレンス | 孤独を抱える若い魔導士。日本の甘い料理に癒やされる繊細なキャラクター。 |
| 塚地武雅(ドランクドラゴン) | ギムリ | 食い意地の張ったドワーフ風の男。コメディリリーフとして場を和ませる役割。 |
| 松本まりか | エーファ | 高貴な出自を持つ令嬢。上品さの中に人間らしい欲望が滲む人気キャラクター。 |
坂口涼太郎演じるハンスは、初回放送から登場する「のぶ」の最古参常連で、物語の案内役的ポジションも担っています。原作ファンからも「ハンスのビジュアルとキャラが一致している」と評価が高く、キャスティングの成功例として語られることが多いです。
松本まりかが演じるエーファは、原作アニメでも人気の高いキャラクターです。松本まりかは「好きな役」として本作を語っており、エーファの高慢さと可愛らしさを絶妙なバランスで体現しています。これは使えそうです。
「異世界居酒屋のぶ」はもともと2018年にアニメ化(監督:渡邊哲哉、制作:DLE)されており、しのぶ役は声優の岩井映美里、大将役を甲斐田裕子が担当していました。実写ドラマ版はこのアニメ版から約5年後の制作となります。
アニメ版と実写版の最大の違いは「料理のリアリティ」です。アニメでは料理の見た目を美麗に描くことに特化できますが、実写では実際に調理・撮影する必要があるため、料理監修に専門のシェフチームが参加しています。実写ならではのアプローチが基本です。
また、登場する異世界側のキャラクター(アゼリアートの住人たち)のビジュアルについても、アニメではファンタジー色が強めだったのに対し、実写版では「中世ヨーロッパ風の衣装・セット」に寄せ、現実感と異世界感のバランスを取る演出方針が採られています。
声優ファンと俳優ファンで「どちらが好きか」意見が分かれやすい作品でもありますが、実写版は「料理が本当においしそうに見える」という点で高い評価を得ており、Twitterなどでは放送後のたびに「#のぶ飯」というタグとともに飲食店の投稿が相次ぐほどの「飯テロ」効果を生んでいます。
本作のドラマキャストを語る上で見落とされがちな重要な視点があります。それは、キャスト全員が「食べる演技」の特訓を受けているという点です。
一般的なドラマでは料理シーンは「食べる演技」の比重が低いことも多いのですが、本作では「初めて食べた瞬間の表情」が物語の核心となるため、監督から各キャストに「リアルな初食い反応」を徹底的に要求したとされています。
実際にハンス役の坂口涼太郎は「唐揚げを初めて食べた異世界人」を演じるために、撮影本番直前まで唐揚げを食べないようにしたというエピソードを明かしています。本物の反応を引き出すための工夫ということですね。これは意外ですね。
このアプローチは全キャストに共通しており、エーファ役の松本まりかも「オでんを初めて食べる貴族令嬢の反応」を撮影するために、前日から当該料理を断つという準備をしたと語っています。つまり、「食べる演技」が本作の品質を支えているということです。
こうした細部へのこだわりが積み重なることで、視聴者は「本当においしいんだろうな」とスクリーン越しに感じることができます。料理の撮影に通常の倍以上の時間をかけているという制作側のコメントも残されており、この「食の演技」への徹底したこだわりが本作の視聴率安定(初回視聴率3.8%・関東)につながった要因の一つとも分析されています。
飲食店を舞台にしたドラマで「食べる表情」を重視した類似作品としては「孤独のグルメ」シリーズがありますが、ファンタジー要素を組み合わせた点で「異世界居酒屋のぶ」は独自のポジションを確立しています。異世界×飯テロというジャンルの先駆けとも言える位置づけです。
今後の続編やシーズン2の可能性については公式から明言されていませんが、配信プラットフォームでの再生数が継続して伸びていることから、ファンの間では続編への期待が高まっています。キャストの豪華さと料理のクオリティが評価された結果、本作はアーカイブ視聴でも楽しめる「繰り返し見たいドラマ」としての評判を確立しています。
本作のキャスト情報やドラマの最新情報については、テレビ東京公式サイトや原作出版社(宝島社)の公式情報をあわせて参照することをおすすめします。
テレビ東京公式サイト:放送ドラマの最新情報・キャスト詳細はこちらで確認できます
宝島社公式サイト:異世界居酒屋のぶ原作コミック・小説の詳細情報はこちら