セトリを全曲予習している人ほど、当日の演出で損をしています。
「Harmony」のセトリは全公演通じてほぼ固定でした。これは基本です。
2024年10月5日の初日から11月20日の千秋楽まで、全10公演すべてで同一の19曲が披露されました。通常のツアーであれば会場や公演日ごとにセトリが変わることも多いですが、Harmonyはいわゆる「定期公演」という形式で、完成された1本のショーとして設計されていました。つまり、どの日に参戦しても同じ曲順で楽しめるということです。
セトリは以下の通りです。
| # | 曲名 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | Magic | 2階バルコニーから大森が登場する衝撃の幕開け |
| 2 | Hug | フルートの音色から始まる幻想的な流れ |
| 3 | ライラック | 第66回日本レコード大賞受賞曲、ストリングスが爆発 |
| 4 | 嘘じゃないよ | 若井のギターソロが際立つ繊細なアレンジ |
| 5 | ANTENNA | 開放感あふれるアンサンブルが心地よく広がる |
| 6 | 光のうた | 大森がソファに座って本を読む演出が印象的 |
| 7 | soFt-dRink | ゆったりとしたテンポのリアレンジ版 |
| 8 | ア・プリオリ | ピンク×赤ライト、重厚な雷鳴のような演出 |
| 9 | Dear | 若井がステージの階段でギターを弾く名シーン |
| — | 〈Interlude:セッションコーナー〉 | 各プレイヤーがソロを披露する見せ場 |
| 10 | クダリ | 弾き語りから始まるメンバー3人の爆笑コント付き |
| 11 | StaRt | デビュー曲をクラシカルなアレンジで届ける |
| 12 | ケセラセラ | 色鮮やかなアレンジで会場をハーモニーで包む |
| 13 | They are | 藤澤のピアノで始まる静かで深い世界 |
| 14 | コロンブス | ビッグバンド的な広がりで祝祭感が最高潮に |
| 15 | Part of me | スモークが漂う幻想的な空間で届けられる |
| 16 | norn | 全編スウェーデン語、アコギ3人編成という異色な演出 |
| 17 | Soranji | 3人だけのミニマルな演奏から壮大に広がっていく |
| 18 | familie | 大森がバケツで紙吹雪を散らすほのぼのシーン |
| 19 | Feeling | ジャジーな大団円でフィナーレを飾る |
公演時間は19:00〜20:50前後、約2時間弱です。アンコールは設定されておらず、19曲をノンストップで届けてそのまま幕を閉じます。「アンコールを待っていたら終わっていた」という声がSNSに多数あがっていました。
Mrs. GREEN APPLE on "Harmony" OFFICIAL LIVE REPORT(ユニバーサルミュージック)
計15名という大編成は、通常のライブでは体験できません。これは必見です。
Harmonyに参戦した人の多くが「知っているはずの曲なのに、まるで別の曲に聴こえた」と口をそろえます。それはすべての楽曲がこのライブのためにリアレンジされているからです。メンバー3人(大森元貴、若井滉斗、藤澤涼架)に加え、ドラム・ベース・キーボード・パーカッション・バイオリン・ビオラ・チェロ・トランペット・トロンボーン・サックスのサポートメンバーが加わった総勢15名の編成で演奏されました。
例えば「ライラック」はストリングスが爽快に響き渡る新アレンジとなり、第66回日本レコード大賞の大賞受賞曲というタイトル通りの「聴かせる」ナンバーに昇華していました。「ア・プリオリ」では弦楽器の不穏な音色に重厚なバンドサウンドが重なり、まさに雷鳴のような存在感を放ちます。「norn」は対照的に、大森と若井がアコースティックギター、藤澤がアコーディオンという最小限の編成で届けられました。全編スウェーデン語という珍しい楽曲を、牧歌的でシンプルな音で包み込む演出は印象的です。
こうした楽曲ごとの大胆な振り幅こそが、Harmonyを単なる「ライブ」ではなく「ショー」として体験させた最大の理由でした。いいことですね。「Magic」から「Feeling」まで、1曲1曲がまるでひとつの短編映画を観るような密度を持っています。
Mrs. GREEN APPLE「Harmony」最終公演レポート(音楽ナタリー)
国内アーティストの公演として異例の「全曲撮影OK」は知っておくべき情報です。
ミセスはもともと「ネタバレ禁止」文化が根強いバンドとして知られています。それだけに、Harmonyで打ち出した「全曲スマホ撮影・動画撮影OK、SNS・ブログへの投稿もOK」という方針は、ファンにとって大きな驚きでした。これが知られていなかったために、「撮っていいと知らず、一切撮影しなかった」という後悔の声もSNSに散見されました。
ただし、注意点も明確にあります。
- 📵 フラッシュを使用した撮影は禁止
- 📷 デジタルカメラや一眼レフなどのプロ仕様のカメラ機材の使用は禁止
- 📱 スマートフォン・携帯電話のみ使用可能
上記のルールを守ればSNS投稿まで自由にOKというのは、国内の大型アリーナ公演では非常に珍しいケースです。実際、公演後にはファンが投稿した動画がSNSで大量に拡散し、参戦できなかったファンも映像でライブの雰囲気を楽しめたという好循環が生まれました。
また、公演終了後は規制退場が実施されました。Kアリーナ横浜の周辺は終演後に道が非常に混雑するため、帰りの交通には余裕を持っておく必要があります。会場周辺の混雑は電車の最終時刻にも影響しうるので、事前に乗換案内アプリで帰路を確認しておくのが◎です。
撮影とネタバレに関するご案内(Mrs. GREEN APPLE公式)
予習のための手段は2025年現在、公式コンテンツが充実しています。これは使えそうです。
Blu-ray/DVD『Mrs. GREEN APPLE on "Harmony"』が2025年7月8日に正式リリースされました。全19曲のライブ映像に加え、10日間に及ぶ定期公演の裏側を追ったドキュメンタリー「Documentary – Episode 8 Mrs. GREEN APPLE on "Harmony"」も特典映像として収録されています。実際の公演映像で完全なセトリを体験できる唯一の手段です。
また公式YouTubeには「ライラック」「ア・プリオリ」「soFt-dRink」「コロンブス」「familie」など、Harmonyのライブ映像が複数公開されています。「ライラック」の動画はHarmony公演のライブ映像として公開されており、第66回日本レコード大賞受賞曲としての貫録を持つアレンジを無料で確認できます。実際に参戦した人が「あの曲をどんなアレンジで聴いたのか」を振り返るのにも役立ちます。
予習はセトリの順番を把握するだけで十分です。曲名を知っておくだけで、次の展開がわかり体験の密度がぐっと上がります。知らない曲名があれば、各曲をストリーミングサービス(SpotifyやApple Music)で聴いておくのがおすすめです。
Blu-ray/DVD『Mrs. GREEN APPLE on "Harmony"』特設サイト(ユニバーサルミュージック)
セトリの並びには、意図的な「感情の起伏」が設計されています。これが原則です。
Harmonyのセトリが単なる曲の羅列ではないのは、公演を体験した人の感想を見ればわかります。「Magic」でパレードのような熱狂を作ったかと思えば、「Hug」で静けさに引き戻され、「ライラック」で再び沸騰する。そして「嘘じゃないよ」でしっとりした感情の谷間に連れて行かれる、という流れが前半だけで完成しています。
後半の見どころもあります。「Dear」後のセッションコーナーで各プレイヤーが技術を競い合うように演奏する「熱量の塊」があるかと思えば、すぐに「クダリ」でメンバー3人がソファに座ってアットホームなコントを始める。「norn」でスウェーデン語の牧歌的世界に引き込まれてから、「Soranji」でゼロからドラマが膨れ上がり、最後は「Feeling」でジャジーな全員合唱によるお祭り感で締めくくる。この緩急の設計は、まさにミュージカルやブロードウェイショーの構成に近いといえます。
通常のアリーナライブでは「盛り上げ曲」→「バラード」→「盛り上げ曲」という単純な三角形を繰り返すことが多いです。一方Harmonyは、ジャンルや楽曲のテンポを細かくカットアップして繋ぎ、「感情の多面体」を提示しています。その結果、同じセトリを10公演連続で体験した人が「1回も飽きなかった」と語るほどの満足度を生み出しました。セトリの組み方だけで、こんなにも体験が変わるということですね。