「heavenly blue」は実はシングルとして通常盤が存在せず、期間限定盤しか発売されませんでした。
アルドノア・ゼロの第1クールOPテーマ「heavenly blue」は、Kalafinaが歌う楽曲で、作詞・作曲・編曲のすべてを梶浦由記が手がけています。2014年7月16日にKalafinaのベストアルバム『THE BEST "Blue"』に先行収録され、同年8月6日に15枚目のシングルとしてSME Recordsからリリースされました。
この曲の最大の特徴は、通常のアニメOPには珍しく「サビが3つ」構成されている点です。TVサイズ(1分31秒)で聴いていると気づきにくいのですが、フルバージョン(5分21秒)は非常にドラマチックな展開を持ちます。つまり、曲全体が三幕構造になっているということです。
また、「heavenly blue」のシングル販売形態は期間生産限定盤のみ(2014年10月31日生産終了)という珍しいリリース方式をとりました。通常盤が存在しないため、初期に入手できなかったファンはベストアルバムやサブスクで楽しむしか選択肢がありません。これは知っておくと便利な情報です。
チャート成績は以下の通りです。
| チャート | 最高順位 |
|---|---|
| オリコン週間シングル | 15位 |
| Billboard JAPAN Hot 100 | 17位 |
| Billboard JAPAN Hot Animation | 6位 |
| animelo mix シングル月間 | 🏆 1位 |
| iTunes アニメ・トップソング | 🥉 3位 |
アニメソング専門チャートでは1位を獲得しており、アニメファンの間での人気の高さがわかります。これは使えそうです。
Kalafinaのアニメタイアップとしては、エンディングや挿入歌の起用が圧倒的に多く、オープニングへの起用は「光の旋律」「to the beginning」と「heavenly blue」の計3曲のみという希少なケースでもあります。普段からKalafinaを聴いているファンにとっても、OPで聴けるという体験は特別なものだったはずです。
【参考】Kalafina「heavenly blue」歌詞全文(歌ネット)
「heavenly blue」の歌詞は、アルドノア・ゼロという作品の物語構造と非常に緊密にリンクしています。この作品には主人公が2人存在します。地球側の主人公・界塚伊奈帆(声:花江夏樹)と、火星側から見た主人公・スレイン・トロイヤード(声:小野賢章)という対比的な存在です。
歌詞の1番と2番がそれぞれの主人公に対応しているという指摘が、放送当時から多くのファンによって行われてきました。結論は、「二人の想いが並走する曲」ということです。
特に大サビの「君が夢見るなら 側に立って 同じ彼方へ手を伸ばすよ」というフレーズは、作中でも皮肉なことに真逆の方向へ進んでいく2人の関係性を踏まえると、非常に示唆的です。なるほど、深いですね。
また、「地球に憧れる女の子」の優しさと、ロックなサウンドが同居しているという梶浦由記本人のコメントも注目に値します。アセイラム姫(声:雨宮天)の地球への憧れと、戦争の激しさを同時に表現しているわけです。
Kalafinaの3人のボーカル役割としては、AメロはHikaruが、BメロとサビはWakanaが中心を担い、Keikoのバックコーラスがそれを支えるという「Kalafinaの定番形式」を踏襲しています。ただし、Hikaruのレコーディングに関しては、梶浦由記から「刺々しく歌ってほしい」という要望があり、通常より激しいアプローチを取ったことが公式資料で明かされています。このレコーディングの経緯が曲に独特の緊張感を生み出しているのです。
【参考】heavenly blue - Wikipedia(楽曲構成・チャートデータ)
アルドノア・ゼロの音楽体制を語るうえで外せない事実があります。第1クールでは「OPが梶浦由記(Kalafina)、劇伴とEDが澤野弘之(SawanoHiroyukinZk)」という、当時のアニソン界を代表する2大作曲家が1作品に集結するという極めて異例の布陣が実現していました。これは奇跡的な組み合わせです。
第2クール(2015年1月~)のOPテーマ「&Z(アンドジー)」は、劇伴担当の澤野弘之が自らのボーカルプロジェクト「SawanoHiroyukinZk」名義でリリースした楽曲です。作詞は澤野弘之とmpiの共作、作曲・編曲は澤野弘之が担当しています。
「&Z」のボーカルを担当しているmizukiは、インディーズバンド「イツエ」のボーカリスト・瑞葵(みずき)が澤野のプロジェクトにゲスト参加しているものです。CDシングルは2015年2月4日にリリースされました。意外なことに、彼女の参加はアルドノア・ゼロのEDテーマ「A/Z」に続いて2度目であり、完全な新人ではなくバンド活動経験のある実力者でした。
以下に1期・2期のOP/EDをまとめます。
| クール | 種別 | タイトル | アーティスト |
|---|---|---|---|
| 第1クール | OP | heavenly blue | Kalafina |
| 第1クール | ED① | A/Z | SawanoHiroyukinZk:mizuki |
| 第1クール | ED② | aLIEz | SawanoHiroyukinZk:mizuki |
| 第2クール | OP | &Z | SawanoHiroyukinZk:mizuki |
| 第2クール | ED | GENESIS | 藍井エイル |
第2クールのOPが澤野弘之の楽曲になったことで、作品全体の音楽的なトーンが一つに統合されました。劇伴とOPが同じ作家の手によるものになったため、BGMとOPの連続性が一層高まっています。それが第2クールの重い展開とより合致した雰囲気を生み出しています。
【参考】澤野弘之×mizuki「&Z」Billboard Japanニュース
「heavenly blue」がリリースから10年以上経った現在も多くのファンに語り継がれている理由のひとつに、Kalafinaの解散という事情があります。Kalafinaは2019年に事実上の活動停止状態となりました。グループを長年プロデュースしてきた梶浦由記がレーベルを離れたことが一因とされており、その後メンバーはそれぞれソロ活動に移行しています。
つまり、「heavenly blue」は現在のところKalafinaとして新たに再録されることのない、当時の記録として残り続けている楽曲です。これがファンにとっての特別な価値を生み出しています。
一方で、楽曲自体の音楽的完成度も高く評価されています。梶浦由記の楽曲としては、「まどか☆マギカ」のサントラや「空の境界」の主題歌と並んで代表作に挙げられることが多い曲です。
さらに注目したいのは、「heavenly blue」の英語カバーが海外でも多数制作されている点です。AmaLeeによる英語版はYouTubeで多くの視聴を獲得しており、アルドノア・ゼロのOPが日本国外のアニメファンにも深く浸透していることを示しています。
アニメのOPとEDを合わせて楽しみたいなら、定額配信サービス(Spotify、Apple Music、Amazon Musicなど)で「ALDNOAH.ZERO Original Soundtrack」や各シングルを検索すると、梶浦・澤野両名の楽曲をまとめて聴くことができます。これを機に全曲チェックしてみましょう。
2025年2月28日、「アルドノア・ゼロ(Re+)」が全国劇場にて期間限定上映されました。本作はTVアニメ全24話の総集編に加え、新作エピソード「EP24.5:雨の断章 -The Penultimate Truth-」を追加した約120分の劇場版です。上映劇場は全国主要都市の映画館に及びました。
新作パートとなる「雨の断章」は、TV本編の最終回(24話)後の続きとして、地球と火星の戦争終結から約9カ月後の物語を描いています。界塚伊奈帆・スレイン・アセイラム姫ら主要キャストは全員続投で、声優陣は花江夏樹・小野賢章・雨宮天・あおきえいらが参加しています。
「Re+」での音楽面についても、澤野弘之のサウンドトラックが活かされており、「雨の断章」のEDには「Harmonious」という新曲が使用されています。OPテーマである「heavenly blue」と「&Z」はTV版の名場面とともに総集編パートで流れ、改めてその楽曲の力を感じさせる内容でした。
この新作の公開は、アルドノア・ゼロというIPが10年を経ても根強いファンを持つことの証明です。TV本編を見てから「Re+」を楽しむことで、OPテーマへの理解も一段と深まるはずです。まずTV版全24話を配信サービスで確認してみるとよいでしょう。
【参考】「アルドノア・ゼロ(Re+)」新作「雨の断章」の詳細情報(Impress Game Watch)