※DMMブックスで1巻まるごと0円で読めます。登録も不要。
『逃げ上手の若君』に登場する清原信濃守は、後醍醐天皇によって新たに信濃国司に任命された反北条派の公家です。彼の統治する信濃は「麻呂世界」と呼ばれ、慣例を無視した重税や反逆者への惨殺など、帝の威光を盾にした理不尽な独裁が行われています。
一方で、清原信濃守には世を変えようとする本物の気概があり、低い家格にもかかわらず後醍醐天皇から国司に抜擢されたという経歴の持ち主でもあります。武士たちからは無能な味方として扱われますが、武士の常識にとらわれない独創的な発想力を持ち、新しい兵器や建造物を発明する才能に秀でています。
清原信濃守の圧政は、領民の不満を爆発させる結果となりました。4巻で描かれる出来事では、「表作の米のみ年貢を取る」という取り決めを守らず、麦からも年貢を取ったり、見せしめに農民を斬ったりしたことで、住民の反乱を引き起こしてしまいます。
この反乱は、北信濃の保科弥三郎が兵を挙げる形で具体化します。時行たちは被害を抑えるよう命じられ、戦場に赴きますが、清原信濃守の作戦ミスにより、本来得られるはずだった領地を失う結果となってしまいます。
清原信濃守の独創性が最も発揮されたのが、「戦闘神輿」の発明です。この奇抜な兵器は、5巻で描かれる信濃の親北条氏を一掃する戦いで登場します。
戦闘神輿は、通常の神輿を改造して戦闘用に特化させたものと考えられます。具体的な性能や仕組みは作中で詳しく描かれていませんが、戦場に混乱をもたらす効果があったことが示唆されています。
しかし、この独創的な兵器をもってしても、清原信濃守は敵に捕らわれてしまい、混乱に乗じて逃げ出すという結果に終わってしまいます。
清原信濃守の物語において、重要な転換点となるのが足利尊氏との関わりです。6・7巻では、足利尊氏の「ヨダレ」を飲まされることで、清原信濃守がパワーアップするという奇妙な展開が描かれます。
この「ヨダレ」が何を象徴しているのかは明確ではありませんが、足利尊氏の力や影響力を比喩的に表現したものと解釈できるでしょう。清原信濃守は、このパワーアップを経て、保科・四宮党との戦いに臨むことになります。
『逃げ上手の若君』における清原信濃守の最期は、8巻で描かれます。戦車と弩(いしゆみ)を駆使して時行たちに対抗しますが、突撃してきた時行に破魔矢で射られ、顔を出した瞬間を保科弥三郎に討ち取られるという結末を迎えます。
一方、史実では清原信濃守のモデルとされる人物は、諏訪頼重が上野を攻める前に攻められて自害したとされています。その人物の名は清原真人(まひと)とされ、『逃げ上手の若君』の清原信濃守とは異なる最期を迎えています。
このリンク先では、清原真人の歴史的背景や、諏訪頼重との関係について詳しく解説されています。
清原信濃守という人物は、南北朝時代の混乱を象徴する存在として描かれています。後醍醐天皇によって抜擢された新進の公家でありながら、その統治は圧政と呼べるものでした。一方で、世を変えようとする気概や独創的な発明の才は、時代の変革を求める気運を表しているとも言えるでしょう。
さらに、足利尊氏との関わりを経て「鬼に堕ちる」という展開は、権力に翻弄される人間の姿を象徴的に描いているとも解釈できます。清原信濃守の物語は、単なる「愚物国司」の話ではなく、激動の時代を生きる人間の葛藤と変容を描いた重層的な物語となっています。
『逃げ上手の若君』に登場する清原信濃守は、以下のような特徴を持つ複雑な人物として描かれています:
清原信濃守の物語は、南北朝時代の混乱と、その中で生きる人間の姿を多面的に描き出しています。彼の行動や思想は、時に滑稽で愚かに見えながらも、時代の変革を求める気概や、権力に翻弄される人間の姿を象徴しているのです。
『逃げ上手の若君』という作品全体を通して、清原信濃守のような複雑な人物像が描かれることで、歴史の教科書だけでは伝わりにくい、当時の社会の空気感や人々の心情がより生き生きと伝わってくるのではないでしょうか。
この物語を通じて、読者は単に「善悪」で歴史上の人物を判断するのではなく、その人物が置かれた状況や時代背景を踏まえて、多角的に考察する機会を得ることができるのです。それこそが、『逃げ上手の若君』という作品の魅力の一つと言えるでしょう。
逃げ上手の若君 原作を90%オフで読む方法
「逃げ上手の若君」の原作漫画を購入するなら、90%オフクーポンが使えるDMMブックスがお得です。
例えば『逃げ上手の若君』(集英社)は、
1~5巻(1冊459円)5冊で2,295円 ➡️ 無料0円に。 (2,295円オフ!)
ん…? クーポンは上限2,000円なのになぜ?と疑問に思ったあなたは、以下の記事をチェック。
※無料期間に最新話までイッキ見できます。